wagamamakacchan’s blog

Music washes away the dust of every life. =Art Blakey=

サラ・ヴォーン / ブラジリアン・ロマンス

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1. Make This City Ours Tonight
2. Romance
3. Love And Passion
4. So Many Stars
5. Photograph
6. Nothing Will Be As It Was
7. It's Simple
8. Obsession
9. Wanting More
10. Your Smile
 
 
1987年録音
 
 
ウィキペディアによれば、サラ・ヴォーンは1990年に末期のガンで死亡していることから、 このアルバムはサラ・ヴォーンが亡くなる3年前に録音された最後のアルバムと云うことになる。
 
そんな彼女の体調の悪さを微塵も感じさせないこのアルバムは、タイトルにブラジリアン・ロマンスとあるように、逆に愉しさを感じさせてしまう程の雰囲気を醸し出している。
 
それぞれの曲の歌詞の内容は別として、このアルバムを曲目に沿って聴き込んでいくと、またこのロマンスのストーリーが垣間見えてくるから面白い。
 
 
さて、いつもは重厚さを前面に押し出してくるサラ・ヴォーンが、アップテンポで軽快に歌い始める一曲目の「メイク・ジス・シティ・アワーズ・トゥナイト」は、楽しいとばかりに”今夜はこの街を私たち二人だけの世界にしてしまおうよ”っとばかりに歌い上げている。
 
二曲目の「ロマンス」は、一転してしっとりと落ち着いた重厚感を出して、ロマンスとはこう云うもんなんだよ、こうあるべきなんだよと主張しているように思えて仕方ない。こんな情緒的なバラードの歌い方は大得意だからどんどん引き込まれてしまう。また、ここでバックを努めているトランペットの効果が素晴らしい。
 
三曲目の「ラヴ・アンド・パッション」は直訳してしまうと、”愛と情熱”と単純なようだが、愛することには情熱が大切で必需品なのさと重〜く深〜く教えてくれている。ここでもまたバックのトランペットがしっとりと場を盛り上げてくれているのが印象的だ。
 
四曲目の「ソー・メニー・スターズ」になると、この二人だけの世界に輝いている沢山の星が、私たち二人を応援しているんだよと静かにムーディーに歌っているようだ。これはやはり秋のきれいに晴れた夜長に聴いてみたい曲だ。
 
五曲目の「フォトグラフ」は、そうだそうだった、二人のために記念写真でも撮っておこうよっとでも歌っているようなムードだ。
 
六曲目の「ナッシング・ウィル・ビー・アズ・イッツ・ウォズ」は、何事も昔のままじゃ無いんだよ、二人の関係も良い具合に変わっているんだよ、とさらりと流しているところが素晴らしいじゃないか。ここでは二人の前途を祈っているようだ。
 
七曲目の「イッツ・シンプル」は、何もそんなに難しく考えることはないさ、単純なんだよ、そう愛していればいいんだよ。ロマンスってそんなものさ?
 
八曲目の「オブセッション」は、あなたを愛してはいるけれど、ちょっと心配もあるんだよ? それが何だか分からないけど、ずっと気になって仕方がないんだっとサラ・ヴォーンの歌声とバックのフルートが訴えかけている。
 
九曲目の「ウォンティング・モア」は、でも、もっと何かが物足りないんだよ?
しっとりとした物憂げなサラの歌い方が女性の表情を言い表しているかのようだ。
 
このアルバム最後の曲「ユア・スマイル」、そうそうそれはあなたの微笑みだったのさ!!