1. Cherokee |
2. September Song |
3. Shulie A Bop |
4. My Funny Valentine |
5. How High The Moon? |
6. It Shouldn't Happen To A Dream |
7. Linger Awhile |
8. Poor Butterfly |
9. Just One Of Those Things |
10. Lonely Woman |
11. Lullaby Of Birdland |
12. Say It Isn't So |
13. Sometimes I'm Happy |
14. All The Things You Are |
15. Sassy's Blues |
16. Misty |
1954年録音ズ・マスターズ・シリーズに二枚のアルバムが取り上げられているが、中でもよく耳にする最も代表的な曲目を収録しているこのアルバムは実に見事だ。
歌唱力や表現力などは言うに及ばず、スキャットの歌い方が素晴らしく説得力があり、それらを聴くだけでウキウキと楽しくなってしまう、そんな雰囲気も十分堪能出来るアルバムだからだ。
フルオーケストラをバックにしたり、ホーン無しのピアノ・トリオにしたりと多才なアーニー・ウィルキンスのアレンジも光り輝いていて聴く者の興味をそそる。
さて、一曲目の「チェロキー」だが、アップテンポなアーニー・ウィルキンス・オーケストラのイントロからサラの歌に入るが、途中からゲストで迎えたキャノンボール・アダレイがソロを取り、絶妙さの中に華麗さが同居していて、サラの歌に華を添えている。
二曲目の「セプテンバー・ソング」はアルバム「ウィズ・クリフォード・ブラウン」から収録したものと思うが、サラがしっとりと落ち着いた雰囲気を歌い上げ、静かで柔らかなクリフォード・ブラウンのミュートとハービー・マンのフルートがソロを取り素晴らしい効果を挙げている。バックで静かに吹いているテナー・マンはポール・クイニシェットか?
三曲目の「シュリー・ア・バップ」はスキャット曲だが、歌いながら軽妙にバックのピアノ・トリオを紹介しているところなどは、流石大御所のなせる技かと感心してしまった。ピアノ:ジミー・ジョーンズ、ベース:ジョー・ベンジャミン、ドラムス:ロイ・ヘインズ。
四曲目の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」はカウント・ベイシー・オーケストラの演奏をバックに優雅に歌っているのが印象的だ。とにかく上手い。
五曲目の「ハウ・ハイ・ザ・ムーン」はスキャットを織り込みながらの歌で、アップテンポにもかかわらず気負いが感じられず、逆に引っ張り込まれてしまうから凄い。
六曲目の「イット・シュドゥント・ハップン・トゥ・ア・ドリーム」もオーケストラをバックに堂々とした歌いっぷりで、その優雅さには圧倒される。ここでもキャノンボールのアルト・ソロがフィーチャーされており十二分に楽しむことが出来る。
七曲目の「リンガー・アホワイル」は一分ちょっとの短い曲となっているが、サラのビブラートの使い方など実に聴きごたえがある。
八曲目の「プア・バタフライ」もまたオーケストラをバックに実に堂々とした歌いっぷりで、特に高音の使い方がオーケストラに良くマッチしているじゃないか。
九曲目の「ジャスト・ワン・オブ・ゾーズ・シングス」のバックはカウント・ベイシーの居ないオーケストラだと思うけれども、スケールの大きい伸び伸びとした歌い方は、やはりオーケストラをも圧倒してしまうのか。ここでのサックスはフランク・ウェスだろうか。
十曲目の「ロンリー・ウーマン」は女の寂しげな様をしっとりとオーケストラに載せて歌っているが、十三曲目の「サムタイムス・アイム・ハッピー」と併せて聴いてみると面白い。
十一曲目の「バードランドの子守歌」は、今でこそJUJUがカバーしてジャズ好きで無い方でも耳にするようになったけれども、私が聴いた最初の歌はヘレン・メリルの超有名なアルバムだった。このヘレン・メリルと比較してみても、サラの歌の上手さが滲み出ている。結局、どんなジャンルの歌でも歌いこなしてしまう能力の持ち主なのだ。サラのスキャットに続くピアノ、ベース、ドラム、フルート、サックス、ミュート・トランペットなどに心地良くなってつい眠くなってしまう。
十二曲目の「セイ・イット・イズント・ソー」は、ムーディーなピアノに載せて文字通り「そうじゃないんだって・・・言ってよ!!」と切々と訴えかけている雰囲気が伝わってくるから、もう凄いとしか言いようが無い。この表現力の素晴らしが堪らない。
十三曲目の「サムタイムス・アイム・ハッピー」もアーニー・ウィルキンス・オーケストラをバックにアルトのキャノンボールがフィーチャーされている。「ときどきあなたを愛したり、ときどきあなたを嫌いになったりするけど、でもあなたといるといつも幸せなの」と歌っている。
十四曲目の「オール・ザ・シングス・ユー・アー」は実にスケールの大きな曲で素晴らしい。こんな曲を歌われたら男は本当にたまらないだろう?
十五曲目の「サッシーズ・ブルース」もスキャットの曲だが、ピアノとの掛け合いが見事で、このアルバムの中で一番好きな曲かも知れない。どんどんのめり込んで行ってしまう。