ふと思い出したのでアップします。
平成23年3月28日(月)読売新聞夕刊の9ページ目に「寺島靖国のスピーク老」というコラムがある。これまで連載されていたようだが、気付かなかった。
そのコラムのタイトルが気になったので転載しておきます。
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週刊誌に「『余命18日』どう過ごしますか?」という記事が出ていた。吉本隆明さんは「寝っころんでいます。自分の能力は示せたから」。曽野綾子さんは、「直筆原稿はすべて焼却。何もいたしません」と達観のご様子。
おこがましいが、私なら、もう少しジタバタする。
20年ほど前、突然オーディオが好きになった。いい音で鳴らすと、ジャズが何倍もすばらしい音楽に聞こえる。
20年ほど前、突然オーディオが好きになった。いい音で鳴らすと、ジャズが何倍もすばらしい音楽に聞こえる。
オーディオ誌に記事を書き始め、収入はすべて製品につぎ込んだ。業界への還元とうそぶき、アンプやスピーカーを次々に買い入れた。家族から鬼と言われたが、いまだ理想の音にめぐり会わない。
余命18日。そういうわけで世界最高級のオーディオ製品を買う。もとい、借りることにした。貸してくれるかって?
業界挙げて還元してくれるだろう。今度は私の番だ。
業界挙げて還元してくれるだろう。今度は私の番だ。
まずスピーカーは、トランスミッションオーディオのULTIMATE system、約1.7億円。パワーアンプはゴールドムンドのTelos 5000、3990万円。CDプレーヤーは同社のEidos Reference Blue、1100万円。ケーブルが650万円。その他プリアンプなど、しめて約2億5000万。
2.5億円の音。考えただけで頭が真っ白になる。私はこれから全オーディオ・ファンが望んでできないことをやろうとしているのだ。震える手で機器をつないでゆく。
出てきた音といったら、どうだ。シンバルからは金粉が舞い、ベースはズーンと床を突き抜け、地べたを這う。
女性歌手を聴けば、彼女はスピーカーから抜け出し、私に近づき、接吻してくるありさまだ。
もはや死んでいるひまはない。
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さて、どんな音が飛び出してくるものやら?