1. スインギン・アット・シュガー・レイズ
2. ゴーイン・ダウン
3. ホワットエヴァー・ローラ・ウォンツ
4. フェイス・トゥ・フェイス
5. サムシン・ストレンジ
6. ハイ・ン・ロー
【パーソネル】
フレッド・ジャクソン (ts)
グラント・グリーン (g)
ベイビー・フェイス・ウィレット (org)
ベン・ディクソン (ds)
1961年1月30日録音
いきなりブルー・ノート・レーベルの看板ギタリストになってしまったグラント・グリーンだが、ブルー・ノート初リーダー作の「グランツ・ファースト・スタンド」を録音した二日後に、このベイビー・フェイス・ウィレットの、やはりブルー・ノート初リーダー作「フェイス・トゥ・フェイス」を録音していることから、ブルー・ノート・レーベルのグリーンへの思い入れ様がわかると同時に、当時ニューヨークのジャズファンがブルースなどを含めたソウル・ジャズを十分に容認していたことがわかるから面白い。
また、このアルバムはグリーンの初リーダー作「グランツ・ファースト・スタンド」の吹き込みメンバーに、テナー・サックス奏者のフレッド・ジャクソンを迎えたカルテットで、ウィレットがリーダーになっていることからも、ジミー・スミスに次ぐオルガン奏者としてのウィレットへの期待も凄かったのだろう。
何しろ初顔合わせのグリーンとウィレットが立て続けざまにファースト・アルバムを録音してしまったのだから、ブルー・ノートの力の入れようも凄い。
さて、本アルバムだが、6曲中5曲がウィレットのオリジナルでウィレットの作曲能力を存分に楽しむことが出来る。演奏も奇抜だが、作曲能力やアレンジ能力にも優れていた類い稀なオルガニストであったわけだ。
1曲目の「スインギン・アット・シュガー・レイズ」はウィレットの持ち前のハイトーンを駆使したミディアムテンポで、ブルージーなオルガン奏法を聴かせるが、それに負けじとグリーンのスインギーなギターが続く。これに続くフレッド・ジャクソンのテナーも二人に乗せられて心地よく響く。
その後ウィレット、グリーン、ジャクソンが短いソロを繰り返し丁々発止とやり合う。こうなるともっともっと聴きたい気分に陥れられるが、そうはいかない。最後にウィレットがソロをとって静かなエンディングとなる。
2曲目の「ゴーイン・ダウン」はスロー・バラードでウィレット、ジャクソン、グリーンと三者三様のアドリブを聴かせ、どこか哀愁を秘めたノスタルジーを感じてしまうが、どれをとっても引けをとらない演奏は素晴らしい。
3曲目の「ホワットエヴァー・ローラ・ウォンツ」のテーマを聴くとどこか懐かしい感覚に襲われるものだが、ここではフレッド・ジャクソンがテナーを渋く歌い上げ、ウィレットの嫌というほどロング・トーンを駆使して泣きわめいている有様が聴きものだ。とにかく上手いと唸ってしまった。
4曲目はアルバムタイトルの「フェイス・トゥ・フェイス」だが、3人でのテーマからジャクソンの華やかな伸びのびとした楽しそうなテナーに入る。当時R&Bを得意としたジャクソンだけにやはり上手くて聴いていて心地よい。
次にウィレットのウィットに富んだオルガンに移るが、ここぞとばかりに弾きまくるその有様はソウルの真髄を感じさせる。負けじとグリーンのギターに続くが、やはりグリーンらしく格好良くソウルフルに決めてくれている。
5曲目の「サムシン・ストレンジ」は何かが始まると暗示させるイントロだが、静かなハイトーンのウィレットは終始ハイトーンで攻めまくり、続くグリーンも思いの外静かに得意のシングルトーンを駆使している。ジャクソンも静かなテナーを惜しげもなく披露してくれている。
6曲目の「ハイ・ン・ロー」は文字通り陰と陽を行ったり来たりとした調子の曲だが、ジャクソンにしてもグリーンにしても、その曲想に良くマッチした奏法に徹しているが、やはりここではウィレットのアレンジの上手さを評価しなくてはならないだろう。